2014年8月15日金曜日

誕生日の思い出

 私の妻は,毎日私に食事や入浴の世話をしてもらっています。

 何かをしてもらうばかりなので,人のために何かをしたいという気持ちは強いようです。

 10年近く前のことです。

 8月に入ってから,妻がアパートの小部屋にこもるようになりました。

 私は,やせるための運動でもしているのかなと思っていました。



 8月15日の朝早く,私が目を覚ますと,隣にいるはずの妻がいません。

 また,小部屋にこもったようでした。

 しばらくすると,「うわーん」と,子どものような泣き声が聞こえてきました。

 あわてて駆けつけると,妻が泣きながら床に散らばったビーズを拾っていました。

 その頃通っていた施設で,アクセサリー作りをしていた時のビーズでした。



 それを見て,小部屋にこもっていた理由がわかりました。

 私に誕生日のプレゼントをしようとして,内緒でビーズのブレスレットを作っていたのです。

 誕生日の当日,最後の仕上げに糸を結ぼうとしたら,切れてしまって,泣いていたのでした。

 私は,ばらばらになったビーズを受け取りました。

 材料費は10円にもなりませんが,とても価値あるものでした。

「何万円もするものをもらうより,俺のために何かをしようとがんばってくれたことのほうが,ずっと嬉しいから」

と,妻を慰めました。




 あれから,妻は私があげるお小遣いをためて,私の誕生日を祝ってくれるようになりました。

 今年は,誕生日のケーキと,
高価な霜降りの焼き肉を
おごってくれました
(あとで私がお金を補充してあげるんですけど・・・)

「せんせい」は,
妻が私をそう呼ぶ習慣になっているので・・・。





 祝ってもらうたびに,あの時の泣き声を思い出して,ちょっとじーんときます。
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