2013年12月15日日曜日

ROCKY "Going the Distance"

 シルベスター・スタローンが脚本を書く時,彼は主人公の戦う動機を丁寧に描く。「ロッキー」にせよ「エクスペンダブルズ」にせよ,主人公がクライマックスの戦いに赴くまでの心の動きを,時間をかけて積み重ねる。その理屈が腑に落ちないこともあるにはあるが,スタローンは,「なぜ戦うのか?」を大事にする脚本家である。



 映画「ROCKY」で,無敵のチャンピオンとのタイトルマッチを前にした主人公のロッキーは恋人のエイドリアンに言う。

「チャンピオンを相手に最後までリングに立っていられたら,オレはクズじゃないって証明できるんだ」



 そしてタイトルマッチ。

 ロッキーはチャンピオンの殺人パンチを浴びながら戦い続ける。

 試合の終盤,限界までダメージを受けてダウンしたロッキーが,立ち上がろうともがく。




 この時のスタローンの演技がいい。
 無様にのた打ち回る姿から,
「つかんだチャンスを放すもんか,オレは負け犬じゃないんだ」
という決意が噴き出している。それは,ロッキーの決意であり,恵まれない俳優,スタローンの決意でもある。彼のキャリアの中で最高の演技だと思う。

 スタローンの熱気に反応して,安いギャラで出演した共演者たちの演技にも熱がこもる。貧しい暮らしに押しつぶされそうになりながら健気に生き,ロッキーに希望を託している人たち。いや,役としても俳優としても,彼らの人生はみんなロッキーだ。
 俳優だけじゃない。監督も裏方もみんなロッキーだ。

 立ち上がれ!

 音楽も反応する。
 Go the Distance !(最後までやり抜け!)

 この熱量を感じて,観ている私たちもロッキーになる。

 負けるもんか!
 Go the Distance !
 

 ロッキーは最後まで立っていた。

 試合は,チャンピオンの判定勝ち。

 だがロッキーは,リング上でインタビューに答える。

「勝敗はどっちでもいい!オレはベストを尽くしただけだ!」

 もう負け犬じゃないんだ。
 最後までやり遂げたんだ。

 そして,ロッキーはヒーローになった。
 誰もがヒーローになれると励ましてくれた。

 Go the Distance !





コメントを投稿