2014年12月3日水曜日

砂の器

 もうDVDが擦り切れるほど(擦り切れない)繰り返し観た名作だが,ブルーレイ版が出ていたので購入。

 もしかしたら,私は「七人の侍」よりもこっちの方が好きかも,日本映画でいちばん好きかもしれない。


 「八甲田山」と同じスタッフなので,オープニングは同じような雰囲気。
 野村芳太郎・橋本忍はこのあたりがキャリアのピークではないだろうか?
 音楽を聴くだけで泣きそうになる。

 丹波哲郎の落ち着いた演技がいい。晩年は,霊界代表の変な人というイメージが定着してしまったが,立派な役者だ。

 森田健作の,清潔感溢れる若々しさがいい。

 緒形拳の,愛敬のある優しさは,この人独特のものだ。

 そして,加藤嘉!
 息子と二人の旅立ちから,息子をかばおうとしたのか「そんな人,知らねえ!」と叫ぶ終盤まで,涙なしでは観られない。

 もちろん,芥川也寸志の音楽なしでは,この映画は成立しない。


森田「和賀は,父親に会いたいんでしょうね」
丹波「そんなこと,決まっとる!彼は今,父親に会ってるんだ」
 終盤まで観てくると,犯人の動機や心情は ややこしくて理解できなくなるのだが,そんなことはどうでもいいのだ。

 論理よりエモーションを優先するのが,橋本忍の真骨頂だ。

 名作です。


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